本の紹介が、またおろそかになってしまいました。サッカーのJ2リーグが終盤を迎え、私の応援するアルビレックス新潟が首位を走り、J1昇格へに期待が高まっていることから、ついついサッカーの話ばかりになってしまっています。

さて、前回は新潟市出身の綾崎隼さんの「ぼくらに嘘がひとつだけ」(文藝春秋)を紹介しましたが(#182 すぐに再読しちゃう面白さ 「ぼくらに嘘がひとつだけ」(綾崎隼) | アルビレックス新潟と本のある幸せ (husen-alb.com))、今回は、新潟市在住の桜井美奈さんの「殺した夫が帰ってきました」(小学館文庫)です。

恥ずかしながら、桜井さんのことはこの春まで知りませんでした。知るきっかけとなったのが綾崎さんの次のツイートでした👇

「新潟県民の99%が身悶えした」という、ちょっとオーバーでユーモラスでもある表現に対して「残りの1%…。」と返信していたのが桜井さんでした。どんな方なんだろうと調べたら、新潟県在住の作家さんでした。ツイッターなどを拝見すると、お仕事をしながら創作をなさっているようです。

「殺した夫が帰ってきました」は、一見ホラーのような恐ろしいそうなタイトルですが、カバーにあるような「心をしめつけるミステリー」で、とても面白く読めました👇

私が購入した文庫では、このブログの一番上にある画像の、右側の方の新しいカバーがかけられていました。それを外すと、左側にある古いカバーが隠れていました。このすぐ上にある画像は、新しいカバーの裏面です。

ネタバレになると困りますので、作品の詳しい内容は書けません。古い方のカバーの裏面にある内容紹介をかいつまんで書きますと、主人公は都内のアパレルメーカーに勤務する鈴倉茉菜という女性です。

ある日、帰宅しようとすると、取引先の男が自宅前で待ち伏せていました。男は無理やり家の中に入ろうとしますが、そこに茉菜の夫を名乗る男が現れて助けてくれます。「男はたしかに茉菜の夫・和希だった。しかし、茉菜が安堵することはなかった。なぜなら、和希はかつて茉菜が崖から突き落とし、間違いなく殺したはずで…。」というものです。

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和希は記憶喪失だといいますが、本当に和希なのか、別人なのか、だとしたら何者なのか? 二人は同居を始めるのですが、一体どうなるのか…。「秘められた過去の愛と罪」が明らかにされていき、謎が謎を呼び、先へ先へと読みたくなります。

作品には、DVやネグレクト、無戸籍児といった社会問題も描かれ、「心をしめつけ」られます。巧みに張られた伏線が最後にきれいに回収され、思いもよらない真相が明らかにされるのですが、私はそこに救いと、希望を感じました。

他の作品も読みたいと思ったのですが、10月に新刊が出るようなので、それを待ちたいと思っています👇

どんな作品なのか、楽しみです。

最後に、私が「付箋した」うちの、二つだけ紹介して終わりにします。

「でも、凄いね、上手だね、と言われるたびに、茉菜は自分の存在理由が少し見えた気がした。大げさかもしれないが、生きている理由を見つけてもらった気がした。
 今でも思うが、きっとあのとき、洋裁ではなく料理を褒められていたら、絵を褒められていたら、歌を褒められていたら、茉菜は別の道を選んでいただろう。与えられたのは自信。それは茉菜にとっての希望にもなった。」

「この世のすべてが平等だとは言えないけど、幸せを望むことは、誰にでも平等にできることだから」

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