読書の大きな魅力に、再読の楽しさがあります。
例えば学生時代に読んだ本を読み返してみます。小説なら、内容をだいたい覚えているものがあれば、ほとんど覚えていなかったり、初読の時に感じたのとは全く違う印象を覚えたりするものもあります。

読み返すことで、そもそもなぜその作家の、その作品を選んだのかも含め、そのときどんな生活をしていたのか、どんなことを考えていたのかも思い出されたりもします。

付箋がついたままの本もあります。「なぜ、この個所に付箋をつけたのだろう」と考えたりする一方で、「こんなに素敵な言葉に、なぜ反応しなかったのだろう」と思ったりすることもあり、それもまた楽しいものです。

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年輪を重ねた自分の成長を実感できることもあるし、逆に若いころの”青臭さ”のようなものを失ってしまったのではないかと、ちょっぴり寂しくなったりもします。

歳を重ねていく中で、興味や関心も変わっていくものです。再読を通じて、過去の自分と対話もできる。それも楽しもみの一つかもしれません。

前置きが長くなりました。今回は新潟市出身の綾崎隼さんの「ぼくらに嘘がひとつだけ」(文藝春秋)をご紹介します👇

内容については、綾崎さんがツイッターで、白鳥士郎さんの書評を紹介していますので、ぜひ読んでみてください。

綾崎さん自身は以前、「『ぼくらに嘘がひとつだけ』は、 若者たちの闘いの物語であり、 棋士、女流棋士、奨励会員を巡る親子の物語であり、 子どもたちを【誰が、何のために】入れ替えたのかというミステリです」と、ツイッターで紹介していました。

私は、本の帯の「才能を決めるのは、遺伝子か、それとも環境なのか?」というキャッチコピーにひかれました。恥ずかしながら、綾崎さんの作品は「レッドスワン」のシリーズしか読んだことがなく、他の作品を読みたいと思っていたのですが、ようやく読むことができました。

本の帯には「二度読み不可避の青春ミステリ」という言葉もあるのですが、私もすぐに再読しました。それほどの面白さです。1度目は、ストーリーに引き込まれてあっという間に読み終えましたが、2度目ではゆっくりと味わいながら、作品の世界に浸ることができました。

上に書いた「レッドスワン」のシリーズは、当ブログでご紹介したことがあります(#07 綾崎隼「レッドスワン」シリーズ | アルビレックス新潟と本のある幸せ (husen-alb.com)

新潟市の私立高校が全国制覇を目指すというサッカー小説であり、青春小説です。アルビレックス新潟について触れられているシーンも何度かあり、アルビのサポーターの方々には、こちらもおすすめです。

綾崎さんは、アルビをも応援してくれていて、試合後などに時々つぶやいてくれています👇

上のツイートにある通り、なんと「ぼくらに嘘がひとつだけ」には、「今年のアルビレックス新潟を見ている人にしか分からない遊びが入って」いるのです。すぐにわかると思います。うれしく、そして楽しかったです。

さらには、二人の”天才少年”のうち、片方の母親が新潟県出身ということもあり、楽しんで読めるのではないでしょうか。将棋のことはよくわからないという人でも大丈夫です。アルビサポーターなら、必読ですよ。

最後に、私が「付箋した」うちの二つだけ紹介して終わりにします。

「負けるのはマイナスじゃない。勝ち続けるより、負けを挟んだ方が、むしろ成長できるさ。」

「これまで、僕は負けた記憶を封印することに力を傾けていた。(中略)だけど、引きずらないことと反省しないことは、似て非なるものだ。反省はするが引きずらない。それが真の冴えたやり方だと千明が教えてくれた。」

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