「書く」ことに関した本の紹介は、前回(#116 読み手を惹きつける 「名作コピーに学ぶ読ませる文章の書き方」(鈴木康之) | アルビレックス新潟と本のある幸せ (husen-alb.com))に続き、コピーライターの方の著作を取り上げます。

伝え方にはシンプルな技術があると銘打って大ベストセラーとなった「伝え方が9割」(佐々木圭一、ダイヤモンド社)です。

佐々木さんは、「コトバ次第で結果を変えることができる」といいます。例えとして、好きな人をデートに誘うときのコトバを挙げます。残念ながら、その人は、あなたに少しも興味がないようです。さて、何といってデートに誘いますか?

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ピュアな気持ちそのままで「デートしてください」と言ったとします。でも、これだと、断われる確率が高いと佐々木さんは書きます。しかし、コトバ次第で結果を変えることができるというのです。どんなコトバだといいのでしょうか?

それは、「驚くほど旨いパスタの店があるのだけど、行かない?」だそうです。これなら「相手は行ってもいいかも、と思う確率がぐんと上がる」といいます。

これは、本書の「はじめに」の冒頭で紹介されています👇

ここで、佐々木さんは、自分は伝え方が苦手で「うまい伝え方は、会話の得意な才能のある人だからできるのだと」と思っていたと吐露します。しかし、「もがきながら膨大な量の名作のコトバを見て、考え、試行錯誤の末」に、次のようなことを発見したといいます。

それは、
「伝え方にはシンプルな技術がある」
「感動的なコトバは、つくることができる」ーということです。


それには方法論があり、この本は最短距離で「コトバ/伝え方を磨くためのガイド」だといいます

この本は3章に分かれています。第1章は「伝え方にも技術があった! ーなぜ同じ内容なのに、伝え方で『イエス』『ノー』が変わるのか?」、第2章は「『ノー』を『イエス』に変える技術 ーあなたがこれからする頼みごとに『イエス!』をもらえる具体的な技術」です。

そして最後の第3章は「『強いコトバ』をつくる技術 ー感動スピーチも、映画の名セリフも、こうやればつくれる」です👇

ここで、佐々木さんは「世の中に存在して目にすることのできる情報量が、10年間で530倍になった」と書きます(この本の初版は2013年)。「インターネット情報の増大が原因」です

このような情報が溢れている中で、「個性のない普通のコトバは無視されるどころか、なかったものとして扱われる」。そうならないために有効なのが「強いコトバ」だといいます

強いコトバとは、「人の感情を動かすエネルギーのあるコトバ」だそうです。「『感動』というつかみどころのなさそうなものを『エネルギー』と捉え直すことであやつることができるできるようになる」というのです。

そしてこの「強いコトバ」は、5つの技術でつくることができるといいます
①サプライズ法②ギャップ法③赤裸裸法④リピート法⑤クライマックス法―です

このうち③の赤裸裸法とは、「あなたのコトバに、体温を感じさせ、ときに詩人のようなニュアンスをつくりだすことのできる方法」です。「自分のコトバが平凡だな、と思うことがあるとしたら、それがいきなりイキイキとした生命力あふれるコトバに変わる」といいます

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具体的な例として、「上をむいて歩こう 涙がこぼれないように」「息を切らしてさ 駆け抜けた道を」(ミスチル「終わりなき旅」)を挙げています

このような赤裸裸コトバは、①最も伝えたいコトバを決める②自分のカラダの反応を赤裸裸にコトバにする③赤裸裸ワードを、伝えたいコトバの前に入れる―ことで簡単につくれると解説しています。 

この章の最後の方で、佐々木さんは次のように書いています。
「人生にはたくさんの分かれ道があります。相手を動かす伝え方を知っているかいないかで、人生の大きなことから、日々の何げないことまで結果が変わります」

本書は200ページほどで、図が多用され、各章には「まとめ」もあり、分かりやすく、比較的短時間で読めます。一読の価値はあると思います。

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