今回は、小山薫堂さんの「小山薫堂 幸せの仕事術」(NHK出版)を紹介します。ご存知の方も多いと思いますが、小山さんは放送作家として「料理の鉄人」など革新的な番組を多く手がけ、映画「おくりびと」では初めて映画脚本に携わり、くまモンの生みの親でもあります。

小山さんが「大学の講義で若い人たちに語るつもりで、僕がやってきたこと、考えてきたこと」を紹介する本で、「仕事において大切にしているマインドや、企画の根っこにある想いとは何か」を伝えてくれています。

この本には「つまらない日常を特別な記念日に変える発想法」というサブタイトルがついています。同じように「つまらない日常を特別な記念日に」という序章の中で小山さんは、「突き詰めていくと、企画とは『サービス』だ」と強調しています。

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企画とはサービスであり、サービスは思いやりだといいます。つまり、企画とは「どれだけ人を楽しませてあげられるか、幸せにしてあげられるか」というのです。

思いやりを持ち、人を慮ることができる、「人に何かをしてあげたいという思いがあるからこそ、ハッという気づきがある」というのです。

そこで重要なのは、「企画とは突飛な思いつきや天才によるひらめきなどではなく、日常から発想し、日々、目にするものや接する事象を視点しだいでよりおもしろくしたり、特別なものにしてあげるという点です」といいます。

小山さんは、ずっとそれを発想の軸に仕事をしてきたそうです。「たとえて言えば、平凡な一日が、ちょっと見方を変えるだけで特別な記念日に変わる」のです。 

「企画」と言うと何か難しそうに聞こえるかもしれません。小山さんは、「『企画』を『工夫』という言葉に置き換えてみるとどうでしょうか。ちょっと工夫して物事をもっとよくしたいという気持ちは、誰もが持っていますよね」と語りかけます。

「常に誰かに喜んでもらうことがうれしい。それだけなんですね」と小山さんは書き、続けます。「その時の『誰か』というのは不特定多数ではなく、顔の見える明確なターゲットです。あの人を笑顔にするため、あの人を喜ばせるためにものを書こう、つくろうと思う

この本は第1章が「企画の原点は幸せにすること」、2章は「アイデアのタネは日常の中にある」、3章は「『共感』が社会を動かす」、4章は「最終目標は人生を楽しくすること」の4つの章で構成されています。

章の初めには、章についての短い説明があってとても分かりやすいです。例えば第4章👇はこんな感じです。

ーここまで、僕の手がけてきた仕事を例に挙げながら、商品づくりやプロジェクトなどの企画をどう形にしてきたかを述べてきました。しかし、企画とは、あらゆる仕事に関係するものですし、もっと言えば、人生そのものに深い関りを持つものなんですね。

そこでも、ちょっとした視点の切り替えが重要になってきます。本章では、どうすれば人生をもっと豊かに、幸せに企画できるのかを考えてみたいと思います。

これに続いて、「究極の企画は自分の人生を楽しくすること」と題して、小山さんは次のように書いています。

「究極の企画とは何か?」と訊かれたら、僕はこう答えます。
「それは、自分の人生を楽しくすること」
「それは、自分が幸せな気分で生きること」

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そして書きます。
「繰り返しり返し述べてきたように、日常の視点をちょっと変えるだけで、世の中が違って見えます。昨日とは何ら変わりない風景が、マインドをちょっと変えることで、幸せなものに見えてくる。つまらない日常が特別な記念日に変わるんですね

以下、4章と3章で「付箋した」言葉を一つずつ紹介して終わりにします。

ー「仕事に失敗すること=負け」と思っていたら不安にもなりますけど、失敗したら失敗したで、おもしろい人生になりそうだな、と考える柔軟性を持つのは、非常に大切なことだと思います。

いまという時代は、共感が大切なんですね。昔は上からシャワーを降らすような広告を、いかに大量にまくかが勝負で、人はそれに洗脳されるように変わっていきました。けれども、いまは、その物語に感情移入し、共感してもらわないことには、いくら力業でいったところで人は動いてくれません。自発的に共感し、参加したいと思わせる新しい価値をいかに提示できるかが重要なのだと思います。 

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