イライラして、つい怒りを誰かにぶつけてしまい、相手を傷つけたり、周囲に不愉快な思いをさせたり、自分が情けなくなったり嫌になったりすることってありますよね。
戸田久実さんの「アンガーマネジメント」(日経文庫)は、「怒りの感情に正しく向き合う対処法」を教えてくれます。「特にビジネス現場を例に解説」していますが、子育てやスポーツの指導などにおいても参考になる一冊です。
著者の戸田さんは、日本アンガーマネジメント協会の理事で、管理職向けのセミナーを年間100回以上行っているという方です👇
アンガーマネジメントとは、1970年代にアメリカで開発された、怒りと上手に付き合うための心理トレーニングだといいます。
しかしそれは、決して怒ってはいけないということではなく、怒りで後悔しないことを目指しているそうです。
たとえば、「『あのとき怒らなければよかった』『あのとき怒っておけばよかった』という後悔をしないこと。そのために、怒る必要のあることとないことを見極め、適切な怒り方ができることを目指すーそれが、アンガーマネジメントです」。
本書は、👇のように6つの章で構成されています。
このうち、第2章の「怒りはどこから来てどこへ向かうのか」には、「怒りは周囲に伝染する」「身近な対象ほど怒りは強くなる」「怒りを建設的に使うこともできる」といった、興味深い項目が並んでいます。
第4章の「アンガーマネジメントの実践」では、アンガーマネジメントを身につけるために効果的なトレーニング方法が紹介されています。
それによりますと、トレーニング方法には、対処法と体質改善という2つの分類があるそうです。このうちの対処法は、怒りにまかせて行動をしないためのテクニックです。
ここで戸田さんは「諸説ありますが、怒りが生まれてから理性が働くのに、6秒程度かかると言われています」と書き、以下のように続けています。
「この6秒間をやり過ごせるようになるテクニックが対処法です。カーッとなったときに、怒りにまかせて行動するのではなく、6秒間を何事もなく過ごせたら、売り言葉に買い言葉のような状況を回避することができます」
具体的な対処法については、ここではご紹介しませんが、戸田さんは「怒りをうまく扱えるようになると、人生が変わります。(略)マネジメント層の方も、中間管理職の方も、新人の方も、本書がコミュニケーションに悩むすべての方々のお役に立てれば、こんなに嬉しいことはありません」と書いています。ぜひ、お手に取ってみてください。