「みなさん、部活、楽しんでますか?」ー。
「部活のことを研究している大学教員」である中澤篤史さんと内田良さんの共著「『ハッピーな部活』のつくり方」(岩波ジュニア新書)の冒頭「はじめに」は、こう始まり、続けます。

「自分がしたいスポーツや文化活動を思う存分楽しめるのが部活、のはずですよね」。

ところが実際はどうでしょう。行き過ぎた勝利至上主義から、休日も少なく長時間の練習が繰り返されたり、体罰など理不尽な指導が行われることも珍しくはありません。

「広告」(クリックすると別サイトに飛びます)

この本には「中学・高校の部活をもっと楽しくおもしろいものに変えていきたい」、そして「中高生の部活の悩みや苦しみを解決したい」という、著者お二人の強い願いが込められています。

部活で困ったり、迷ったりした時に頼れる「部活の参考書」といえるこの本には、「おとなが教えてくれなかった部活のすべてが書かれています」。例えばこんな具合です👇

一部を紹介しますと、
・部活はやってもやらなくてもいい
・部活をやめても内申点に大きく影響はしない
・いじめや体罰は許されない
・先生も大変で「ブラック部活」と呼ばれたりする
・ゆるーい部活もアリ
・部活の主役はあなた自身である
・楽しくない部活なんてありえない

これらのことが、「生徒のみなさん全員に届く言葉、届けたい言葉、届けるべき言葉を」選んで、分かりやすく解説されています。

「広告」(クリックすると別サイトに飛びます)

序章「楽しくない部活はありえない」では、「ハッピーな部活」をつくるためのヒントが「部活を題材にしたマンガ・映画・小説などのエンタメにちりばまれれています」として、「キャプテン翼」「SLAM DUNK」「ROOKIES」「ちはやぶる」などの作品が紹介されています。

1章の「部活解体新書ーおとなが教えてくれない部活の本当の形」、2章「部活維新のススメー部活の主役はあなたです」に続き、3章は「部活お悩み相談所ー部活博士と金髪学者が答えます」です👇

ここでは「休みがほしい」「人間関係がイヤ」「教師への不満」「親への不満」といった中高生の悩みに答えつつ、詳しく悩みを探り、どう考え行動すべきかについて解説しています。

4章「動き出した部活改革」に続き、終章の「みんながハッピーな部活を目指して」では、二人の著者が「みんながハッピー」という時の「みんな」は、「決して生徒全員だけを指しているわけではありません」と書かれています。

「指導者である先生も含めて『みんな』がハッピーになることを目指して」いる、といいます。部活の顧問を務める先生の中には、部活が多忙で授業やその他の仕事に支障が出たり、競技経験もないのに顧問を任されて指導がうまくいかず悩んでいる先生もいるからです。

「広告」(クリックすると別サイトに飛びます)

スポーツ庁の有識者会議は6日、公立中学で休日の運動部活動の指導を地域のスポーツクラブや民間事業者に委ねる「地域移行」を、2025年度末までに実現すべきだとする提言を室伏広治スポーツ庁長官へ提出しました。

共同通信によりますと、室伏長官は「子どもたちにより良いスポーツ環境を整え、教員を目指す人が増えるようにワークライフバランスの見直しにも取り組んでいきたい」と述べたといいます。

これからの部活はどうあるべきかー。この本は、部活問題について分かりやすく解説されていますので、保護者の方や地域でスポーツに関わっている方などにも広く読んでいただきたい一冊です。

「広告」(クリックすると別サイトに飛びます)