きょうは岩崎航さんの詩集2冊のご紹介です。
初の詩集は「点滴ポール 生き抜くという旗印」(ナナロク社)で、初版は2013年7月3日。航さん37歳の時です。
第二詩集「震えたのは」(ナナロク社)は、2021年6月15日初版。最初の詩集から8年で、航さんは45歳です。
「点滴ポール 生き抜くという旗印」には、巻頭に
嗚呼 僕も
生きているんだ
青空の
真っただ中に
融け込んでいる
という詩があり、そのページをめくると斎藤陽道さんの写真が目に飛び込んできます👇
実物だと、もう少し青は濃いです。それよりさらに濃い、第二詩集の表紙の青が印象的です。
第一詩集は、この写真の次にエッセイ「生き抜くという旗印」があります。その最後の方で航さんは、次のように綴っています。
「授かった大切な命を、最後まで生き抜く。
そのなかで間断なく起こってくる悩みと闘いながら生き続けていく。
生きることは本来、うれしいことだ、たのしいことだ、こころ温かくつながっていくことだと、そう信じている。
闘い続けるのは、まさに『命』を人間らしく生きるためだ。
生き抜くという旗印は、一人一人が持っている。
僕は、僕のこの旗をなびかせていく。」
第一詩集の帯には、「何度も繰り返して読みました。そして励まされました」「自分の悩みがちっぽけなものに思えて涙があふれました」といった読者の声とともに、谷川俊太郎さんの一文が載っています。
「病む弱い体が、こんなにも健やかな強いタマシイを育むことができるのだと知って感動し励まされました。あなたを尊敬し、誇りに思います。」
もう何も、付け加える言葉はありません。あとは詩をお読みください👇
第一詩集「点滴ポール 生き抜くという旗印」から。
点滴ポールに
経管食
生き抜くと
いう
旗印
くるしいも波
かなしいも波
たのしいも波
うれしいも波
だから漕ぎ続けてる
第一詩集からもう二つだけ👇
楽観主義とは
現実の忌避
ではない
意志と勇気の
芯の強さだ
ほんの少し
気概を持って
押してみたら
おっくうの壁は
案外もろくて
次は「震えたのは」からです👇
第二集のあとがきに、航さんはこんな風に書いています。
「生き抜くという旗を掲げると宣言した第一詩集『点滴ポール 生き抜くという旗印』を経て、今回の第二詩集では、その旗を掲げ、社会の只中で生きる思いを込めました。」
できるんだ
なんとかなるんだ
太陽のような呼びかけに
こころの皺が
伸ばされていく
思いを貫こう
人と自分に
気兼ねしているうち
一生が
終わってしまう