朝晩は涼しくなり、秋の訪れを感じます。秋の花といえば、私はコスモスが浮かびます。
秋桜とも呼ばれますが、桜のような妖艶さはなく、風に揺れる可憐な姿がとても好きです。

コスモスには、宇宙という意味もあります。なぜ、一見か弱そうな花に、宇宙と同じ名前が付けられたのでしょうか。何か不思議で、面白いです。


さらに、コスモスからは、その外見に似合わず、生命力の強さ、たくましさも感じます。どんな雨風に打たれても、台風にも負けません。しなやかに受け流して、立ち直る。このギャップもまた、私が魅力を感じる理由の一つです。

今回は、そのコスモスがカバーの表紙に使われている、画詩集を紹介します👇

「いのちの花、希望のうた」(ナナロク社)は、画家の岩崎健一さんが絵、詩人の岩崎航さんが詩を担当しています。お二人は兄弟で、健一さんがお兄さんです。この本の「まえがき」に航さんが、ご兄弟の紹介を書いていますので、まずお読みください。

「健一は絵を描き、弟の私は詩を書いています。
互いに筋ジストロフィーによる障害で人工呼吸器を使い、生活のすべてに介助を得ながら暮 らしています。日々の創作ではふたりともパソコンを仕事の道具にしています」

航さんには詩集「点滴ポール」(ナナロク社)などの作品があり、私は折に触れて読み、励まされ、力をもらっています。健一さんの絵は初めてでしたが、美しい絵の数々に心洗われると同時に、「生涯を一点の絵に注ぎ込む創造の凄み」(航さん)のようなものを感じました。

この画詩集は、「母」「ふたり」「踏みだす」「暮らし」「はたらく」「旗印」「希望」の七つの章に分けられ、「花の命に自らの『生きる』を感光させた健一の絵に、私もまた自分の生きる中で紡いだ詩を添え」(航さん)られています。お二人のエッセイもあります。

作品の中から二つだけ紹介します。まずは第2章「ふたり」にある作品です👇

回り道ばかり
してきたお蔭で
拾うことのできた
落ち葉を焚いて
こころ 温める
   (紅葉)

次は第7章「希望」にある詩と絵です👇

弱ったときは
弱っていても
いいんだ
強がる弱さを
そっと手放す
  (セントポーリア)

あなたのやってきたことに、無駄なことなんて一つもないんだよ。回り道や失敗さえも、それがあった「お蔭」で今のあなたがある。そのむなしさや悲しさ、悔しさを養分としてきたからこそ、紅葉のように真っ赤に色づくことができる。振り返ってみれば、いい思い出として心を温めてくれるー。とても励まされます。

「強がる弱さ」という言葉に、ハッとさせられました。
「弱ったとき」には、弱っていてもいいんだよ。そう言ってもらえるだけで、どれほど救われることでしょう。

「弱ったとき」には、何もかも忘れて、音楽を聴いたり、小説の物語の世界に浸ったりするのもいいでしょう。そして、この画詩集を手にとってみてください。あなたに寄り添い、励まし、エールを送ってくれます。きっと、そこから希望の光がみえてきます。

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