7月は「書く」ことに関しての本を中心に紹介していこうと思っています。それに先立って、#103(#103 和菓子って奥が深い 「和菓子のアン」(坂木司) | アルビレックス新潟と本のある幸せ (husen-alb.com)の最後に、下のようなクイズをお出ししました。
「成人式を迎えた私の1歳年下の弟より一つ年下の彼女」
この場合、「彼女」っていったい何歳でしょうーというものです。お分かりになりましたか?「答え」は、次の広告の後に。
答えは、18歳、19歳、20歳のいずれかです。
「成人式を迎えた」のが、誰にかかるかによって変わりますから、この文では特定できません。
①成人式を迎えたのが私だと、彼女は18歳。
②成人式を迎えたのが弟だと、彼女は19歳。
③成人式を迎えたのが彼女なら、彼女は20歳です。
このクイズは、慶應義塾高校の元教師・佐久協さんの「日本一愉快な国語授業」(祥伝社新書)の、「句読点」の項目にあります👇
分かり易く、正確に伝わる文章を書くためには、句読点を正しく打つ、ということが大切です。ちなみに、句点とは「。」、読点は「、」のことです。
中でも読点は、打つ位置によって意味が変わることがありますので、気を付けないといけません。でも、なかなか難しいな~と思う方も少なくないのではないでしょうか。
簡単に言うと、正しく伝えるために、誤解を招かないために、適切な場所に読点「、」をつければいい、ということです。上のクイズの例では、「成人式を迎えた」のが誰にかかるのかをはっきりさせるために、読点を打てばいいのです。それは、どこでしょう。みなさんやってみてください。
答えの前に、もう一つ同書に載っている例文を。
「ここではきものをぬぐこと」は、二つの意味になってしまいます。それは、「ここで、履き物を脱ぐこと」と、「ここでは、着物を脱ぐこと」です。書く方は、別の意味にとられるなんて思いもよらないのでしょうが、こういうこともありますので注意が必要です。
それでは先ほどの例です。
①成人式を迎えたのが私なら 「成人式を迎えた私の、~」
②成人式を迎えたのが弟なら 「成人式を迎えた私の一歳年下の弟より、~」
③成人式を迎えたのが彼女なら「成人式を迎えた、~」にすれば、年齢がはっきりします。
ほんと、難しいですよね。著者はこの項目に「句読点は苦闘点」という見出しを付けています。この句読点については、次回でもう少し書きたいと思います。
さて、この本は、「日本語全般に関してこれだけは知っておいてもらいたい知識や問題点を具体的な用例を挙げて解説」しています。上の写真にあるような20の項目が、五十音順にとりあげられています。
各項目ともクイズから始まっていて、どこから読んでも楽しめながら学べます。下のクイズは「符号とは言いがたいのですが、恋人が巻紙で送ってきた手紙です。さて何と読むのでしょうか?」とあります。分かりますか?👇
答えは、
「夜は長く、遠く離れて君小石=恋し」です。
きょうは七夕ですね。
最後に、私がいつも心掛けていること(なかなか、できていない事もありますが…)をご紹介して終わりにしたいと思います。
▼中学生でも読める文章を 専門用語は使わず、分かりやすい言葉で、語りかけるように書きましょう。
▼気張らない 良い文章を書こうという気持ちが強くなりすぎると、文章が硬くなったり、不必要な修飾語が多くなったりしがちです。気取らず、自分の言葉で書きましょう。
▼リズム良く 1センテンスが長く、だらだらとした文は読みづらく分かりにくくなります。1センテンスが短い方が歯切れが良くなります。ただ、短い文ばかりが続くと単調になったりで、素っ気ない感じになったりします。「短・短・長」や「短・長・短」などリズムをつけるといでしょう(緩急や、いいリズム、サッカーなどスポーツでも大事ですよね)。