どうしてこんなに、周りの目が気になるのか? 
どうしてこんなに、先輩に従わないといけないのか?……

どうして、こんなに生き苦しいんだろうとため息をついたことはありませんか?
この本は、あなたの生き苦しさのヒミツをあばき、楽になるための方法を書いたものです。

これは、「『空気』を読んでも従わない 生き苦しさからラクになる」(鴻上尚史、岩波ジュニア新書)の「はじめに」にある言葉です。

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作家・演出家で著者の鴻上さんは、第1章「なぜ先輩に従わなければいけないの?」で、ヨーロッパやアメリカなど「ほとんどの国では、『先輩・後輩』という考え方はありません」と書きます。

ところが、日本では一つでも年上の先輩には絶対服従だったりします。「問題は、一つ年上かどうかではなく、尊敬できる人かどうか」なのに、どうして従ってしまうのでしょうか。

鴻上さんは、それが日本の文化だからだといいます。それは個人の問題ではなく、「あなたが弱いからでも、先輩が強引だからでもない」。だから、「イヤな先輩に従わない方法を考えようとしたら、この国の文化を研究する必要がある」というのです。

この国の文化を理解するのに重要なヒントとなるのが「世間」と「社会」という二つの言葉で、これを理解すると「あなたの息苦しさのヒミツが分かるようになる」と、鴻上さんは書きます。

「世間」は、「あなたと、現在または将来、関係のある人達のこと」です。具体的には、学校のクラスメイトや塾で会う友達、地域のサークルの人や親しい近所の人達です。

「社会」は「世間」の反対語で、「あなたと、現在または将来、何の関係もない人たちのこと」です。例えとして、道ですれ違った人とか、初めていくコンビニのバイトの人、隣町の学校の生徒などを挙げています。

そして、ここからが興味深いのですが、日本人は基本的に「世間」に生きていて、自分に関係のある人達をとても大切にします。その一方で、自分の関係ない「社会」に生きる人達は生きる世界が違うと思っているので無視していても平気だというのです。

自分を大切にしてくれる「世間」に生きることは、「安心することですが、同時にいろんな掟(ルール)に縛られます」。江戸時代の「村」が典型的です。

鴻上さんは、歴史を振り返り、「世間」は中途半端に壊れていて、「今現在、『世間』に属していない人も、『世間』という考え方・感じ方が日本人として残っている」と指摘します。

中途半端に壊れて残った「世間」という大きなものが、「くだけて日常になり、いろんな場面にいろんな形で現れるようになったのが『空気』」です。「空気」は、「世間」より軽くなりましたが、一度定着すると「強力な力を持つようになります」といいます。

この本では、「世間」のルールや、「世間」とうまくつきあったり、戦ったり、「世間」を変えていくためのヒントが示されています。

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中高生らに語りかけるように、懇切丁寧に分かりやすく説明されています。中高生はもとより、大人の方々にも、きっと「生き苦しさからラクになる」新たな気づきがあるのではないでしょうか。

最後に、私が「付箋した」箇所からあと一つだけ紹介して終わります。

「いろんな国に行き、いろんな風景を見て、いろんな文化を見ることは、自分が生きている国や街、文化を相対的に見ることに役立ちます。
『相対的』というのは、自分の生きている状況が唯一、絶対ではないと分かるということです。
自分の今の状況はたったひとつの正解ではないんだという考えは、生き苦しさから私達を救ってくれます」

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