新潟市のメディアシップからスマホで撮影した萬代橋と夕日(他にいい写真がなくてすみません)

山形県鶴岡市出身の藤沢周平さんは、帰省する際には上野から新潟回りの特急を利用していたといいます。

6時間かかるので、たいてい推理小説を読んでいたそうです。小説も旅も終わりに近づき、新潟から山形へと県境を越えるころから左手に日本海が見えてきます。

ちょうど海に日が沈むところでした。

「いまひと息で読みおわる小説への興味に、ついに日本海の落日が打ち勝ち、私の眼は窓のそとの光景に釘づけになる。そして胸の中では、こんなうつくしい風景がよそにあろうか、とつぶやいていたのである」

これは、藤沢さんの「ふるさとへ廻る六部へ」(新潮文庫)という随筆集👇にある、「日本海の落日」という作品の一節です。

この随筆集は、文庫本のカバーにある言葉を借りれば「庄内地方への郷愁、変貌する故郷への喪失感、時代小説へのこだわりと自負、創作の秘密、そして身辺・自伝随想等を収めた文庫オリジナル・エッセイ集」です。

「日本海の落日」は、「山形県西部、庄内平野と呼ばれる生まれた土地に行くたびに、私はいくぶん気恥ずかしい気持で、やはりここが一番いい、と思う」で始まります。

「私はいくぶん気恥ずかしい気持で」の一言に藤沢さんのお人柄が表れていて、何より名文で、私はとても大好きで何度も読み返しています。

日本海に沈む夕日の美しさ。それは、多くの新潟県民も誇りと感じているのではないでしょうか。
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私の応援するサッカーのアルビレックス新潟は、チームカラーがオレンジとブルーです。アルビレックスの名前の由来となった「アルビレオ」は、白鳥座の中でひときわ輝くオレンジとブルーの二重星で、さらには新潟の美しい夕日のオレンジ、日本海の美しいブルーという意味合いも込められています。


今回、この作品を紹介しようと思ったのは、きのう29日に新潟市のデンカビッグスワンスタジアムでアルビとモンテディオ山形の試合があり、山形サポーターの方々が1500人ほども訪れたくれたからです。

サッカー観戦の楽しみの一つに、アウェーに行って観光したり、美味しい食を味わったりすることがあります。モンテディオ山形は、同じ雪国、日本海側のチームとして好きなチームで、私も何度も訪れました。

感染禍前は2年続けてサポーター仲間で、楽しい旅をしました。2年続けて海岸線を北上し、まずクラゲで有名な鶴岡市立加茂水族館へ👇

クラゲの生態が学べるほか、巨大水槽もあってボーっと見ているだけで癒されます。クラゲラーメンやクラゲ定食もあります。私はクラゲソフトクリームを食べましたが、ソフトクリームとクラゲのコリコリした触感の組み合わせが新鮮で、美味しかったですよ。

鶴岡市街の楽しみは、何といっても藤沢周平記念館です👇

緑豊かな鶴岡公園の中にあります。「蟬しぐれ」や「三屋清左衛門残日録」の一節をスライド映像で紹介していたり、自宅書斎を東京から移築・再現されたりしていて楽しめます。

その後は試合会場のある天童市へ向かいます。その前に少し足を延ばして山形市で名物の冷やしラーメンをいただきました。普通のラーメンのように丼に入っていてスープには氷が浮かんでいました。あっさりした感じなのですが、コクとうまみがあり癖になりそうです。

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そして試合です。2018年はタイムアップ寸前に追いつき、アディショナルタイムの得点で逆転勝ちし、帰路も大いに盛り上がりました。2019年は……ちょっと試合の間だけの記憶がないのですが(笑)、楽しい旅でした。

みなさんも、ぜひアウェーの旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。
私は今年は、サポ友さんたちと7月の群馬と金沢のアウェー旅に行く予定です。今からとても楽しみです。

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