普段何気なく言っている「ほめ方」「叱り方」の口ぐせを意識して少し変えるだけで、親子関係や子どもの育ち方が大きく変わるー。

「自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方」(島村華子、ディスカバー)は、「大人のエゴのためではない、子どものためのほめ方・叱り方を心がけ」、さらには「大人の期待や評価を押しつけない」ことにより、自分で考え、自分で動き、未来を切り拓ける子に育ってもらうための子育て・教育メソッドが書かれています。

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著者の島村さんは「モンテッソーリ教育 レッジョ・エミリア教育を知り尽くしたオックスフォード児童発達学博士」だそうです。

「レッジョ・エミリア教育」についてはよく知りませんが、モンテッソーリ教育は将棋の藤井聡太五冠が幼いころに受けていたことで有名ですね。2つの教育方法は、「カリキュラムなどのマイクロな教育方法では大きく異なる」そうですが、「子どもに対する絶対的な尊敬・尊重を基盤にしている」点ではとてもよく似ているといいます。

この本は5つの章で構成されています👇

第1章は、親の声かけ次第で、子どもは変わる
第2章は、自分でできる子に育つほめ方
第3章は、自分でできる子に育つ叱り方
第4章は、子どもとつながる聞く習慣
第5章は、こんなとき、どうすればいい?Q&Aーです。

このうち第1章の「親の声かけ次第で、子どもは変わる」では、褒美を与えたり罰を与えたりするアメとムチの「条件付きの接し方(条件付き子育て)」は、「短期的にしか教育効果がない」、「条件つきの自己肯定感しかもてなくなる」ーなどの怖いデメリットがあるとされます。

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これに対して、行動の善しあしにかかわらず愛情を注ぎ、子どもの気持ちに寄り添うのが「無条件の接し方(無条件子育て)です。この無条件の子育てを実践するためには、ほめ方と叱り方に気をつける、「子どもに対するイメージ(見方)」を見直すーなどの5つの原則があるといいます。

中でも、キーになるのが「ほめ方と叱り方に気を付ける」ことです。第2章では「ほめ方」、第3章では「叱り方」について、具体例を引いて詳しく説明されています👇

2章の「ほめ方」では、「安易な『ほめて伸ばす』には要注意!」として、「すごい!」「よくできたね!」「さすが〇〇ちゃんだね!」といった言葉が、「子どもの成長にとって必ずしも良い影響があるとは限らない」と指摘されています。

それは、「ほめ方によっては、子どもに不安やプレッシャーを与えたり、モチベーションが下がる原因になったりと、さまざまな弊害があるのもたしか」だからです。

3章の「叱り方」では、罰を与える叱り方は、「より攻撃的、反発的な態度を生み出す」「力を使った問題解決法が正当化される」など、4つの大きな問題があると書かれています。

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どちらの章とも、ケーススタディーとして、「お手伝いをしたとき」「テストの点数がよかったとき」などのほめ方、「部屋を散らかしているとき」「なかなか宿題をしないとき」の叱り方などが10ずつあります。分かりやすく参考になるのではないでしょうか。

第5章の「こんなとき、どうすればいい?Q&A」では、「『ゲームは1日30分』を守らせるには?」、「祖父母による甘やかし。どう対応すればいい?」といったものがあり、興味深いです。

島村さんは「終わりに」で、「子育てに絶対の正解はありません」とし、「少しでもみなさんの気づきに貢献できたなら、考えるきっかけになれたならそれで十分です」と書いています。

子育て世代に限らず、幅広い世代、立場の人たちに、たくさんの気づき、考えるきっかけを与えてくれる一冊だと思います。

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