今回は、まずクイズから。以下に挙げる人=()内は作品や発明など=には共通した特性があるそうです。さて、一体それは何でしょうか? 

ニュートン(重力理論)、アインシュタイン(相対性理論)、チャールズ・シュルツ(「チャーリー・ブラウン」)、スピルバーグ(「E T.」「未知との遭遇」)、ラリー・ペイジ(グーグル)、J・K・ローリング(「ハリー・ポッター」)

「内向型人間のすごい力 静かな人が世界を変える」(スーザン・ケイン著、古草秀子=訳、講談社+α文庫)によりますと、答えは、いずれも内向的な人だそうです。

「広告」(クリックすると別サイトに飛びます)

この本は2013年に出版された「内向型人間の時代」(講談社)の文庫版です。著者のケインさんは、「進化論からゴッホのひまわりの絵、そしてパソコンにいたるまで、偉大なアイデアや美術や発明の一部は、自分の内的世界に耳を傾け、そこに秘められた宝を見つけるすべを知る、物静かで思索的な人々によるものだ」と書きます。

さらに「金融、政治、各種の活動など、内向型の影が比較的薄い領域でも、大躍進の一部は内向型の偉業だ」と言います。本書は、上記に加えアル・ゴア、ウォーレン・バフェット、ガンジーといった人々が、「自らの内向性にかかわらずではなく、内向性ゆえに、いかにして偉業をなし遂げたかを検証」しています。

自分は内向型か外向型か、どちらなのかー。もちろん完璧に当てはまる人はいないでしょうが、本書の中でも紹介されている質問が文庫版の帯にもあるのですが、〇が多いほど内向型である確率は高いそうです👇

内向型は「熟考の人」ともいえ、次のような特質のどれかに当てはまる人々です。「思慮深い、理性的、学問好き、控えめ、繊細、思いやりがある、まじめ、瞑想的、神秘的、内省的、内部指向、丁寧な、穏やか、謙虚、孤独を求める、内気、リスク回避的、神経過敏」。

これとは対照的に、外向型は「行動の人」ともいえ、「意気軒昂、明るい、愛想がいい、社交的、興奮しやすい、支配的、積極的、活動的、リスクをとる、鈍感、外部指向、陽気、大胆」といった性格です。

注目したいのは、ケインさんが内向型は「感受性の鋭さや、生真面目さ、内気といった性格とともに、現在では二流の性格特性とみなされ、残念な性格と病的な性格の中間にあると思われている」と書いていることです。

「広告」(クリックすると別サイトに飛びます)

それは、私たちは外向型の人間を理想とする価値観の中で暮らしているからです。ケインさんは「外向型を理想とする社会で暮らす内向型の人々は、男性優位世界の女性のようなもので、自分がどんな人間かを決める核となる性質ゆえに過小評価されてしまう」と書き、続けます。

「外向性はたしかに魅力的であるがゆえに、押しつけられた基準になってしまっていて、そうあるべきだ、と大半の人々が感じている」。このため、内向的であることを恥ずかしがったり、外向的に装ったりする方も少なくないのではないでしょうか。

ケインさんは、この本の主眼点は「この二つのタイプのパワーバランスを向上させれば、どれほどの成果がもたらせるかという点についてである」と書き、「コミュニケーション・ギャップ 逆のタイプとのつきあい方」という章も設けています👇

訳者の古草秀子さんの言葉を借りれば、「内向型の人間が、クリエイティブな発想や、ねばり強い持続力、緻密さといった独自の能力を存分に発揮し、社交的で行動力にあふれた瞬発力がある外向型と補完しあってこそ、すばらしい成果がもたらされるとケインは言う」のです。

古草さんは「この本はさまざまな点で重要である」と言います。それは「内向型の人は、外向型を理想とする現実世界で生きるうえで、感じずにはいられない居心地の悪さの原因を、はっきり見極めることができる」。

さらには、「自分の性格をあらためて確認し、長所を伸ばし短所をフォローアップするにはどうしたらいいのかを知ることができるに違いない」。

また、外向型の人は「自分の身近にいる内向型の人の心のうちを知ることは、たがいの能力を最大限に発揮するうえでも、より良い関係を築くうえでも有益であろう」とも書いています。

内向型の自分としては勇気をもらいました。自分が内向型と思われる方はもちろん、外向型と思う方にもお薦めです。

【広告】クリックすると広告に移動します