「人生の教訓や健やかな人格形成のために必要なこと」を学べるスポーツを通し、「勝利と豊かな人生を手に入れるための指導法」が、実例も豊富に、詳しく、分かりやすく書かれています。
ユーススポーツに関わる人たちにとどまらず、すべてのスポーツの指導者、選手、スタッフ、サポーター、さらにはビジネスパーソン、学生、子育てをしている方々など多くの方に読んでいただきたい一冊です。
今回ご紹介するのは、「ダブル・ゴール・コーチ 勝利と豊かな人生を手に入れるための指導法」(ジム・トンプソン著、訳・鈴木佑依子、東洋館出版社)という本です。
著者のジム・トンプソン氏は、スタンフォード大学のスポーツ部を統括する独立部署に設置された非営利組織、「 ポジティブ・コーチング・アライアンス」の創始者です。スタンフォード大学で、リーダーシップやコーチング、スポーツとスピリチュアリティに関する講義を行っている方だそうです。
上にある、「ポジティブ・コーチング・アライアンス」(PCA)の「ポジティブ・コーチング」とは、何でしょうか。本書にはこんな風に書かれています👇。
ポジティブ・コーチングの反対は、ネガティブ・コーチングだと思うかもしれませんが、そうではありません。「アスリートや試合の内容には見向きもしない、勝利へのゆるぎない執念に基づいた勝利至上主義の指導方法」こそが、ポジティブ・コーチングとは正反対のものです。
誤解してはいけないのは、ポジティブ・コーチングは、「怠けてやる気がない選手にも、『いいぞ! よくやってる!』と褒めるべき」ということでありません。「まず高い目標設定をし、その目標を選手たちが達成できるように、コーチは恐怖や脅迫ではなく称賛を用いる」のです。
それでは、ダブル・ゴール・コーチとは何でしょう。
ダブル・ゴール・コーチングとは「勝つことを目指しつつ(一番目のゴール)、スポーツを通じて人生の教訓や健やかな人格形成のために必要なことを教える(二番目のゴール。ただし一番目のゴールより重要)」というPCAが考案した「ダブル・ゴール・コーチ」モデルです。
それはただの思いつきではなく、「入念な研究の結果導き出された」ものだそうです。
「スポーツ心理学、教育心理学、道義付けの心理学、倫理教育などをもとに研究が積み重ねられ、勝利至上主義と比べ、ポジティブ・コーチングは、スコアボード上の結果を出すためにも、成功する人間を育てるためにも、より優れた指導法であることがわかってきている」というのです。
この本には「競技に敬意を払う」「セカンド・ゴールを目指すー保護者のためのコーチングー」といった章があります👇
「保護者のためのコーチング」では、「子どもの才能を育む」や「やる気を出させる会話術」、「監督ー保護者間関係ガイドライン」といった項目があります。
「やる気を出させる会話術」では、「同輩として会話する」「『それから?もっと聞きたい』という態度で聞く」など、具体的に説明されています。
スポーツの指導者や指導者を目指す人はもとより、会社などで人を指導する立場にある人、教師や親といった方々には、とても参考になると思います。ぜひ手に取ってみてください。
(次回もこの本について書きます)