前回の#83「仕事は楽しいかね?」(デイル・ドーテン、きこ書房)で、「変わることは、ただひたすら、より良くなろうとすることだ。人は<違うもの>になって初めて<より良く>なれる」という言葉を紹介しました。

そこで今回は、「スタンフォードの自分を変える教室」(ケリー・マクゴニガル、大和書房、だいわ文庫)をご紹介します。

著者は「スタンフォード大学の医学部健康増進プログラム担当の健康心理学者および教育者として、みなさんがストレスと上手に付き合い、健康な選択をするためのお手伝い」している方です(2012年の本書発行当時)。

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この本の特徴は「心理学、経済学、神経科学、医学の各分野から、自己コントロールに関する最新の見地を取り上げ、『どうしたら悪い習慣を捨てて健康的な習慣を身につけられるか』『物事をぐずぐずと先延ばしにしないようになれるか』

また、『集中すべき物事を決め、ストレスと上手に付き合うにはどうしたらよいか』を説明」していることです。

その上で、「『私たちはなぜ誘惑に負けてしまうのか』『どうしたら誘惑に打ち勝つ強さを身につけられるのか』を解き明かして」いくことにあります。

著者は「長年にわたって、多くの人が自分の考え方や感情、体や習慣を変えようとして苦労する姿を見て」きて、あることに気がついたといいます。

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それは「意志力に関する思い込みの多くが、成功を妨げ、不要なストレスを生んでいる」ということだそうです。そうしたことをきっかけに、著者は「意志力の科学」という、スタンフォード大学生涯教育プログラムの公開講座を始めました。

講座は「指折りの人気講座」になったそうです。講座が始まって4週間後のアンケートでは、受講者の97%が「自分自身の行動を以前よりもよく理解できるようになった」と感じ、84%が「授業で学んだ方法のおかげで以前より意志力が強くなった」と回答したそうです。

本書は「10週間の講座を受講するようなかたちで構成」され、「各章では重要なポイントを1つ取り上げ、その科学的な根拠を説明し、それをどうやってあなたの目標の設定に役立てるかについて説明」します👇

第1章は「やる力、やらない力、望む力―潜在能力を引き出す3つの力」です。意志力とは「やる力」「やらない力」「望む力」という「3つの力を駆使して目標を達成する(そしてトラブルを回避する)力のこと」だそうです。そして「これこそ、私たちがよりよい自分になるために役立つものである」といいます。

第2章は「意志力の本能―あなたの体はチーズケーキを拒むようにできている」で、「意志力は、ストレスと同様、自分自身から身を守るために発達した生物的な本能である」と書きます

3章は「疲れていると抵抗できないー自制心が筋肉に似ている理由」で、「自己コントロールは筋肉に似ている。使えば疲労するが、定期的なエクササイズによって強化することができる」がポイントなどと指摘されています。

章は「終わりにー自分自身をじっと見つめる」の第10章まであります。10章を除く章の最後には、その章のポイントが表としてまとめられていて便利です👇

例えば2章は、こんな具合です。

「呼吸の数を1分間に4回から6回程度減らし、生理機能を自己コントロールに適切な状態へもっていきましょう」

「外へ出て活動しましょうー近所を5分間歩き回るだけでも大丈夫ーストレスが減り、気分も明るくなり、モチベーションもアップします」

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「昼寝をしたり、ひと晩ぐっすり眠ったりして、睡眠不足の悪影響を解消しましょう」(ちなみにこの章では「『6時間未満の睡眠』が脳を弱くする」と題して、睡眠不足が慢性化するとストレスや欲求や誘惑に負けやすくなり、感情をコントロールしたり、意識を集中させたり、「やる力」のチャレンジにに取り組むのも難しくなると書かれています)

本書は、表紙をめくると著者のメッセージがあります。
「誘惑や依存症に苦しんだり/物事を先延ばしにしたり/やる気が出なかったりして/困った経験のある方々/ーつまり、すべての人ー/に本書を捧げます」

「明日は今日と違う自分になる」ための、参考にしてはいかがでしょうか。

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